ShortWave.STUDIOの近代化プロジェクト

JA ShortWave.STUDIO

これまでは家内制手工業状態だった

ShortWave.STUDIOが制作/公開しているコンテンツの1つとして、
「OPTOg」という種類の動画コンテンツがあります。

昔は「Ping」という名称でトーク番組風のコンテンツを主としていましたが、
その後その枠に当てはまらないコンテンツも作り始めたので名称変更に至ったわけです。

まあ、それは余談として。

これまで、私たちが制作する動画コンテンツは人の手によって作られていました。
フローで言えば下記のようになります。

  1. 日本語で台本を書く
  2. AIを活用して英語に翻訳する
  3. 台本の内容を元に、HeyGenでメインとなる映像と音声を作る
  4. 一部AIを使って、サムネイル画像などの素材を作る
  5. 動画編集ソフトを起動し、作成した素材を読み込み編集する
  6. 書き出してYouTubeやサイトなどにアップする

……まあ、極めて普通のフローですが、こんな感じでやってました。

AIについては、翻訳と素材制作のあたりでは使っていたものの、
制作工程の大半はハンドメイド。まさに家内制手工業。

機は熟した

最初はそれでも良かったんです。コンテンツを作ること自体が楽しいので。

しかしながら、1動画あたりにかかる時間と労力は結構なもので、
時の経過と環境の変化によって、創作活動への心理的ハードルは年々上昇傾向にありました。

幸いなことに、その制作フローはパターン化されており、
使う資材やトラック構成、適用する設定などはテンプレ化されていました。

「どうやって人間がやっている事を自動化するか」を整理/検証すれば、
大幅な省力化が実現できる……という公算です。

タイミングが良いことに、OpenAIのGPT-6 AstraやAnthropicのFable 5.1が使える時代です。
細かい調査や検討、それに基づく実装などはすべてお任せできそうです。

ずっとやりたいと思いながら後回しにしていた近代化改修作業に着手することを決めたのです。

整理から

まずは方針策定とニーズの整理です。いわゆる要件定義というやつですね。

まず重要な柱として、完全自動化は目指さないことにしました。
自動化の対象は「作業」に限定し、「創作」に類するタスクは人間が担当する。

この2つは「絶対ブレない軸」として定め、その上で可能な限り自動化をする。
ただし、かかる労力と得られる結果を比較し、費用対効果のあるものだけ実現する。

まあ、細かい話はいろいろあるんですが、基本はこんな感じ。

この内容と実際の作業内容をAIに伝えて、実現プランをいくつか出して貰った結果、
「MCPとUXP、画面操作を織り交ぜて実現する」という方向性になりました。

実装と検証

メインの素材はHeyGenというサービスを利用して作成しているのですが、
このサービスにはMCPが提供されていました。

試してみたところ、人の手でやっていたことの大半をカバーしていることが分かったので、
ほぼすべての工程を自動化できそうです。

しかし、Premiere ProにはAIから操作を自動化する仕組みなんてありません。
編集操作を自動化するためにはその仲介を行う何かが必要になるのですが……。

いろいろ調べた結果、「Premiere Pro MCP」というアプリを導入することにしました。

https://premiere-pro-mcp.com

MCPという仕組みによって、AIとPremiere Proの仲介をしてくれるアプリですね。
この手のプロダクトは色々世の中に出回っているので、興味があったら調べてみてください。

ただ、これも完璧ではなく……。
その後調べていくにつれ、実現できないことも結構あることが分かりました。

最終的には、独自実装のUXPやCodexによる実際のブラウザ操作なども織り交ぜて、
全体の自動化を実現する方向で落ち着きました。

できることとできないこと

色々な紆余曲折があった結果、2つに分割した自動化スキルが実装されました。
フローとしてはこう変わったのです。

  1. 日本語で台本を書く
  2. AIを活用して英語に翻訳する
  3. 台本の内容をスキル #1が読み取って、映像と音声を作成/自動ダウンロードする
  4. 一部AIを使って、サムネイル画像などの素材を作る
  5. スキル #2が動画編集ソフトを起動し、各種素材を規定に基づいて処理/配置する
  6. 配置と初期処理が終わった動画編集ソフトを引き継ぎ、細部を調整する
  7. 書き出してYouTubeやサイトなどにアップする

上記の3 および 5が自動化されたタスクですね。
人の手でやると億劫な部分が自動化できたので、かなり楽になりました。

参考までに作業フロー全体から見た責任分界点を下記に整理します。

・AI・自動化側がやること

  • HeyGenでの映像・音声生成
  • 生成物のダウンロードと整理
  • 字幕と台詞の対応確認
  • シーン候補の抽出
  • Premiereへの素材読み込み・配置
  • 規定された初期処理
  • その他の反復可能な定型作業

・人間がやること

  • 企画の考案
  • 台本の執筆
  • 演出全般
  • 各アセットの詳細設定/エフェクト適用
  • 字幕調整
  • AI処理の確認と修正
  • 完成判断

「やらなかったこと」は「できなかったこと」ではない

今回の自動化施策ですが、割と人の手を要するタスクが残っています。
これは冒頭で述べた「費用対効果」を評価した結果、意図的に残したものです。

たとえば……

  • 自動化できるが、人間がやった方が早い
  • ケースバイケースの判断が入る
  • 結果が安定しない
  • AIのクレジットを消費しすぎる
  • 曖昧さが多分に含まれる
  • 実現できるが、その実現にコストがかかりすぎる
  • 自分でやりたいところだった

といった事情があって、自動化を見送ったところですね。

動画の構成を整理したりすればもっと自動化の範囲を広げることはできそうですし、
何なら完全自動化もできそうではあったのですが……。

それをやってしまっては、ShortWave.STUDIOではなくなりますからね。

成長するシステム

このシステムはまだローンチしたばかりで、完璧とはいえないものかもしれませんが、
この手の内部効率化ツールは使いながら改善のサイクルを回すべきものです。

コンテンツ制作を進める中で感じたこと/得られたことをもとに改修を行い、
より効率的な制作環境が実現できるようにしていきたいと思っています。

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